法人向けビジネスの特徴と法人営業の要諦について

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営業は”個人営業”と”法人営業”の2つにに大きく分類されます。

2つの特徴は以下のとおりです。

❶個人営業は販売単価が小さいことが多い
❷法人営業は取引金額が大きくなることが多い
❸個人営業は「販売」だけの狭い勝負になりがち
❹法人営業は、「知能の総力戦」を求められる

これらの特徴から分かる2者の違いは”仕事のダイナミズム”にあるでしょう。

今回はダイナミックな法人営業の要諦を解説していきたいと思います。

法人向けビジネスの特徴

法人向けビジネスの特徴は以下のとおりです。

❶購買や調達担当者の製品知識が豊富
❷購買の意志決定には複数の立場の人が関与
❸購買意思決定プロセスが複雑
❹決まった予算計画に基づいて購買される
❺取引関係が長期にわたって続く

このような特徴を持つ法人向けビジネスに携わる人間は、この特徴を自身の行動に反映させなければなりません。

購買や調達担当者の製品知識が豊富である以上、自社製品はもちろん競合他社の製品にいたるまで、幅広い知識を蓄えておかなけれればなりません

また、購買の意志決定に複数の立場の人が関与している以上、開発や製造部門、決済権者となりうる上層部の人間にまでパイプを作っておかなければなりません

そして、購買意思決定プロセスが複雑である以上、多方面からのニードを的確に捉え、潜在ニードまで想像を膨らませて対処していく必要があります。

予算計画については、予算要求段階のお手伝いから関与するチャンスを狙うとともに、スペックインのチャンスも狙わなければなりません

取引関係が長期にわたって続くという観点から言えば、LTV(ライフタイムバリュー/顧客生涯価値)を意識して、次の取引が発生するまでのフォロー施策を考えておく必要があります

顧客とのコミュニケーション

法人営業が顧客とコミュニケーションを取る目的は、顧客のニード(裏側にある真実を含めて)を常に把握することにあります。

顧客のニードについては、「予算」「スペック」「サービス」に対する顧客の思いや考えを、競合他社の動きを含めて把握しておく必要があります。

また、顧客には、本音と建前があることを決して忘れてはいけません。

「あなたの会社を優先的に検討している」と顧客に言われたとしても、裏側では競合他社を第一候補に検討していたなんてことは普通にあるからです。

また、企業の意志決定構造は複雑で、企業ごとの個別性が高いという特徴があります

顧客とのコミュニケーションにおいて抑えておくべきことは以下とおりです。

❶購買の意志決定のタイミング(毎年何月頃か、納期の何カ月前か)
❷予算(担当者の予算権限はいくらか)
❸購買方針(複数購買を原則としているか、価格上限があるか)
❹意志決定の形式(何千万円未満は書面のみ、何億円以上は役員会稟議、など)
❺体制と役割(意思決定権者、社内ユーザー)

最期に❺の体制と役割について整理しておきます。

●バイヤー(購買担当者など):営業マンとの窓口となり、交渉や契約の手続きを行います。
●ゲートキーパー(購買部長など):キーパーソンとの間のやりとりを行う。
●ディサイダー(本部長など):公的もしくは非公式の決定権を持ちます。
●インフルエンサー(関連部門など):間接的に影響する意見を出します。
●ユーザー(工場長、生産管理など):購買される製品の利用予定者であり、仕様を決定します。

ここでキーパーソンとなるのは、インフルエンサーの一部とディサイダーであり、それ以外の役割は意思決定の補完的役割を担います。

ただし、企業によっては、ユーザーやバイヤーがディサイダーになることもあるので注意深く見極めることが大切です。